不織布について

不織布について

生活を豊かにする繊維素材、それが不織布

不織布の歴史

 不織布の生産は、初期には繊維事業本体の延長として不織布産業はとらえられず、1956年にダイニックス、日本フェルト工業やフジコーの様に羊毛工業フェルト業界の企業や金井重要工業のように繊維機械関連部品製造業界の企業からの参入で始まった。一方、製紙事業からの動きとして、金星製紙が乾式不織布の生産を始めた。1958年になると特殊製紙や広瀬製紙は湿式不織布としてビニロンなどの極短繊維を使用した生産を開始した。1959年になると、繊維大手企業の倉敷紡績、呉羽紡績やユニチカが乾式不織布事業に進出し、更に1960年には、世界的に最大手であるカールフロイデルベルグと東レ及び大日本インキ化学工業の3社出資の不織布専業企業である日本バイリーンが発足した。
 
 最近の世界の動きでは、不織布業界でも買収(M&A)が頻繁にあり、世界上位20社にも、ベリープラスチックス、フロイデルベルク、デュポンといった欧米に加え、中国、イスラエルからも顔をだしている。40社までに拡大すれば、日本、チェコ、台湾などの諸国も含まれていて、アジア、東欧、中近東での生産が急激に拡大している。当初、衣料分野を中心とした織物、フェルト、皮革などの耐久性の代替用途が多かった不織布も、衛生、医療などのディスポを主体とする不織布独自の用途開発品も大きな需要を占めるまでに成長した。不織布のポーラス構造などの特異な機能と、各種の繊維、製法に基づいた特徴ある製品開発が実り、ありとあらゆる分野にその用途を拡大している。この発展は素材メーカ(繊維、樹脂)の開発や新設備設計などとともに築き上げられてきたものであった。不織布の特徴を生かしながら、競合素材との競争のなかで、また独自のニーズにマッチした新規開発が今後も進むことは間違いない。

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不織布の定義

 不織布とは、「織らない布」ことです。私たちが普段、着用している服は糸を織ったり、編んだりしてできた布を縫製したものです。Tシャツはやセーター、スーツ、肌着などほとんど衣類は織りや編みによって作られた布を生地とします。一方、不織布は織ることも編むこともしません。専門的な定義で言えば、「繊維間を融着や機械的、化学的作用によって結合、あるいは絡み合わせたシート・ウェブまたはバット状のもの」が不織布です。不織布の素材にはコットンや麻、ウールなどの天然素材をはじめ、合成繊維、再生繊維、さらには紙の原料であるパルプなど、あらゆるものが使われます。

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不織布って何に使われるの?

 皆さんの生活の中で、不織布はどこに使われているのでしょうか?例えば衣類を構成する肩パッドや芯地、テープ類などの目の見えないところにも不織布が多用されています。そのほか、紙おむつやシップ剤、病院用のマスクやガーゼなどの衛生・医療分野、土壌安定材などの土木・建築分野、研磨材や電気絶縁材、電池セパレータなどの産業資材分野、内装材などの自動車資材分野、フィルタ類などの空調資材分野など、様々な分野、目的で不織布は活用されています。目立ちはしないものの、私たちの生活を支え、豊かにしている素材、それが不織布です。

不織布の特徴

・不織布はポーラス(多孔性)構造となっています。このため、通気性、吸水性に富み、保温性も高いなど、種々の機能、特徴があります。

・様々な生産工程、パラエティ豊かな素材の活用により、ろ過性、分離性、拭き取り性、補強性、成形性、緩衝性、導電性、帯電性、柔軟性、耐洗濯性、耐薬品性、樹脂含浸性など、用途や目的にあわせた機能を付加することができます。

・生産性が極めて高く、マスプロダクトが可能です。また、緻密なものから崇高なものまで、密度コントロールができ、その厚さを自由に変えることができます。

・縫製することはもちろん、熱による接着が可能なものもあります。

・様々なタイプの設計可能で、応用性が高く、布や紙、皮などの既存の分野にその代替品として置き換わるだけでなく、あらゆる分野で新しい独自の用途開発が更に進んでいきます。

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不織布の原料

●不織布の原料
不織布の元となる原料には様々なものがあります。ポリエチレンやナイロン、ビニロンなどの合成繊維をはじめ、レーヨンなどの再生繊維、コットン、ウールなどの天然繊維、さらにはガラス繊維や炭素繊維などの様々な繊維や繊維間を結合する接着剤、いろいろな特性を付与するための機能剤に至るまで、千差万別です。製品の用途や特徴に合わせ、これらの原料が使い分けられています。

●代表的な原料

・ポリエステル
独特の風合を持ち、強度も、耐熱性も高く、加工の幅が広いのが特徴です。不織布には最適の繊維であり、自動車内装材やカーペット基材として多用されるなど汎用性の高い原料です。

・ポリプロピレン
比重が小さく、水に浮く繊維、染色性、接着性の悪さなどから衣料分野に向きませんが、吸水性、吸湿性がないことを生かし、紙おむつのカバー材料、医療用ガウンなどに使用されます。また、親油性が高く、油吸着材としても活躍しています。

・レーヨン
吸水性、吸湿性に優れています。風合いが柔らかく、おしぼり、フェイスマスクなどの化粧品、いろいろなワイパー、医療用シーツ、ガーゼ、ドリッツ吸水材などに多く使われます。

・ナイロン
柔軟性、染色性、耐摩耗性、耐薬品性に優れています。この特徴を生かし、衣料関連の芯地や、研磨材、電池セパレータなどに使われることが多い、不織布の主要原料のひとつです。

・ガラス繊維
高性能フィルタろ材に使われることが多く、特にHEPA、ULPAなどのろ材は極細ガラス繊維製が圧倒的です。一方、FRPの補強基材などととしても用いられます。

・高機能繊維
耐熱性や難燃性の他、耐薬品性、絶縁性など高度な機能を持つ繊維で、アラミド繊維や、炭素繊維、PPS繊維、ポリイミド繊維、フッ素繊維などがあります。フィルタ材の他、防炎服や防護服、電気絶縁材、自動車部材などのあらゆる分野で活用されています。

・ビニロン
耐薬品性や保液性に優れるためアルカリ電池などに多用される一方、溶解性を生かした刺繡用基布として使用されます。

・生分解性繊維
トウモロコシなどのデンプンを主な原料にした繊維。生分解性が必要とされる農業用シートや、土壌補強のための土木資材、環境に関連した資材などの分野の使用が増えています。

・パルプ
一般的には紙の原料ですが、不織布ではエアレイド法などで生産され、高及液性を特徴とし、ワイパー、クッキングペーパー、吸水体、おしぼりなどに使われています。

・コットン
天然繊維の代表。ワイパー、医療用途などでの使用が増えてきています。

・接着剤
繊維間の結合を主目的とする原料で不織布に強度や寸法安定性を付与します。アクリル系、合成ゴム系、天然ゴム系、ウレタン系などがあります。

・機能剤
必要な特性を付与するため使われる原料で、難燃剤、消臭剤、撥水剤、柔軟剤、帯電防止剤、抗菌剤などがあります。

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不織布の製法

●ウェブの主な形成方法

・乾式法
数センチメートル長にカットした繊維をカードまたはエアランダム機で薄いウェブを形成。必要に応じウェブを重ねる。

・湿式法
数ミリ長の短繊維を水中に分散し、ネット上で抄き上げウェブ形成。・スパンボンド法
原料チップを押出機で加熱、熔融し、ノズルから押し出し紡糸、延伸、その繊維をネット上で積層し、ウェブ形成。

・メルトブローン法
原料チップを押出機で加熱、熔融し、ノズルから熱風を噴き上げながら押し出した微細繊維をネット上でに集積ウェブ形成。

・エアレイド法
送られてきた解繊パルプ・短繊維、またそれら混合物をローターにて攪拌、スクリーン開孔により吐出し、ウェブ形成。

●ウェブの繊維結合方法

・ケミカルボンド(浸漬)法
ウェブをバインダーに浸漬、乾燥して繊維間結合するもの。

・ケミカルボンド(スプレー)法
ウェブにバインダーをスプレーし、乾燥して繊維間結合するもの。

・サーマルボンド法
ウェブに熱溶融性繊維を混ぜ込み、その繊維を部分的に溶融し繊維間結合するもの。または、高・低融点からなる二成分繊維の低融点部を熱溶融し、繊維間結合するもの。
エアースルー法、加熱カレンダー法、超音波法などがある。

・ニードルパンチ法
ウェブに刺のあるニードル(針)を突き刺し、繊維を機械的に絡めるもの。・水流交絡法
ウェブに高圧の水流をノズルからネット上で噴射し、繊維間を絡めるもの。

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共同開発・業務提携

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