研究開発

コア技術について

KGK 共同技研化学のコア技術

多層膜同時塗工(分子勾配膜塗工)

 共同技研化学の3層同時塗工技術(分子勾配膜塗工技術)は、特殊積層成膜技術で、中心層から外側の層にかけて、同種または異種の樹脂溶液をグラデーション成膜(段階成膜)することで分子間引力を高めて非常に強固な結合を生み出す技術です。
 
 この技術を使用して両面テープを作ることで、従来型両面テープ(不織布・基材フィルム基材両面テープなど)では難しかった性能を引き出します。  
 
 分子勾配膜両面テープ・接着フィルムは、被着材料界面(外側の粘着層)では粘着剤の総厚み(粘着力は厚みに依存する)と結合を最大限にする特殊粘着剤で強化を図り、被着材料の反りや外部衝撃・荷重応力には、層間の分子量勾配で応力緩和ができる製品です。つまり、テープの厚み全てが高分子としての特性と被着材料界面との密着に複合的、強力に寄与する事で、従来の両面テープと比較し、1.5倍から2倍の粘着力、耐熱性、粘弾性を有することができます。

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高分子、低分子とは

 分子は原子の集団であり、この「分子」の上に「高」がつく。この「高」は分子が大きいということを意味します。この大きさは重さで定義され、分子の重さは分子量、すなわち相対的な質量によって定義します。メタンがCH4の分子量が16であるというのは、炭素Cの原子量(相対原子質量)を12とする約束事の上に立ったものです。メタンの分子は、誰でも小さいと考えるだろう。メタンは「低分子」というわけです。それでは一体どれくらいの大きさの分子量の分子ならば、「高分子」なのだろうか。メタン、エタン、プロパン、ブタン,・・・・。鎖状飽和炭化水素、アルカンを分子量が大きい方へ並べていったものであるが、これを一般的に化学式で書くと

H – CH2 – CH2 – CH2 – ・・・・ – CH2 – CH2 – CH2 – H

となります。この式の中のCH2の数が非常に多くなったもの、例えば、1万個とかが、実は高分子化合物の代表の1つであるポリエチレンに他なりません。実は、「高分子」と「低分子」との間に分子量の値の点ではっきりした境界があるわけではありません、一応、分子量1万くらいを目安と考えていいでしょう。何だか頼りない話のように聞こえるかもしれないが、「高分子」とは、分子量の巨大さで定義されるものであるが、実際にはそのことによって生じる性質によって定義されていると見ることもできます。

アクリル樹脂(Acrylic)

 プラスチック(合成樹脂)には、ポリ塩化ビニール、ポリエチレン、ポリスチレン、ナイロンなど様々な種類があり、共同技研化学のプラスチックの中で現在一番大量に使用しているのは、アクリルです。
アクリル樹脂とは、アクリル酸エステルあるいはメタクリル酸エステルの重合体で、透明性の高い非結晶の合成樹脂です。
その構造は、メタクリル酸メチル、アクリル酸エステル共に炭素、水素、酸素で構成されているため、酸素を除く構成は、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレンと同じです。
アクリル樹脂は、硬く、かつ耐候性に優れ、特に透明性は通常知られている樹脂の中で最も高く、無機ガラスと比べて強靭で加工しやすく、着色もしやすいことを特徴としています。
別名有機ガラスとも呼ばれます。 
また、一般的に一言で言われるアクリル(アクリル酸エステルの重合体)といっても、下記のようないろいろな種類があります。

アクリル酸エステルの重合体

アクリル繊維や合成樹脂のMethyl acrylate(アクリル酸メチル)
アクリルゴムや塗料、接着剤のethyl acrylate(アクリル酸エチル)
接着剤、粘着剤、塗料のbutyl acrylate(アクリル酸ブチル)
接着剤、粘着剤、塗料の2ethylhexyl acrylate(2エチルヘキシル)
接着剤、粘着剤、塗料の2hydroxyethyl acrylate(ヒドロキシエチル)
紙おむつ等の高吸水性高分子のsodium polyacrylate(ポリアクリル酸ナトリウム)
※一般的にアクリル酸エステルは、プロピレンの気相酸化で合成される。

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粘着剤の重合と合成

 共同技研化学は、顧客の要望に合わせてモノマー(アクリルモノマー)を熱やUVでラジカルを発生する開始剤により重合し、架橋剤などで合成して、必要な機能を持った粘着剤を設計します。特にアクリル系粘着剤は、モノマーの種類が多く、幅広い性能設計が可能なため、多くの汎用な用途で使用され、現在の粘着剤の開発の主要な原料でもあります。また、アクリル系粘着剤は、透明性、耐候性、耐熱性に優れているため、スマートフォンから自動車、医療関係など幅広く使用されています。

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付加重合(ラジカル重合)

 エチレンに置換基の付いた化合物は多種多様でそれらの多くが付加重合反応を起こします。原料の不飽和化合物を単量体(モノマー:monomer)、生成物の高分子を重合体(ポリマー:polymer)と呼びます。

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 プラスチックとして用いられる高分子の代表はポリエチレン、ポリ塩化ビニル(X=H, Y=Cl)、ポリスチレン(X=H, Y=C6H5)、ポリプロピレン(X=H, Y=CH3)です。その他、合成繊維ビニロンの原料ともなるポリ酢酸ビニル( X=,H Y=OCOCH3 )、空気を通さないフィルムとして特徴のあるポリ塩化ビニリデン( X=Y=Cl )、透明で有機ガラスと呼ばれるポリメタクリル酸メチル( X=CH3, Y=COOCH3 )、3大合成繊維のひとつ、アクリル系繊維の主原料のアクリロニトリル( X=H, Y=CN )です。ちなみに他2つは、縮合重合系のポリエステルとポリアミドです。

 付加重合反応では、モノマー同士が直接反応してその間に結合ができるのではなく、加熱や光によって分解して反応性の高い活性種(フリーラジカル)を与える化合物である開始剤から生じたがモノマーの不飽和結合への付加を繰り返すことによってポリマー生成します。ラジカルが反応活性種となる付加重合反応を機構上、「ラジカル重合」と呼んでいます。成長反応の個々の段階と停止反応は非常にはやいので、いったん開始反応が起こるときわめて短時間のうちに重合度の高いポリマーを生成し、反応が停止する。この反応では高重合度のポリマーのみ生成し、低い重合度の生成物はできません。

アクリル系粘着剤

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合成樹脂のインダストリアライゼーション

 粘着剤などのプラスチック(合成樹脂)としての性質は、プラスチックを作るポリマーが互いに絡みあっていることで現れます。
そのため、一般にポリマーというのは、長ければ長いほど、絡まり合いが複雑になり高い架橋による良質なポリマーを製造することができます。
しかし、長いポリマーを作ることは簡単ではなく、そのためには重合方法が重要になってきます。 
重合はモノマーとモノマーの手が結ばれていくことで反応が進行します。
この反応しか起こらないのであれば、ポリマーの長さは無限に長くすることができるでしょう。
しかし、現実には期待されない反応も起こってしまい、そのためにポリマーはある長さ以上になりません。
期待されない反応として最もよく起こるものは、正しいモノマーとは別のモノマーやポリマー、酸素、溶媒と結合を起こしてしまうことです。つなぎを間違えてしまうとそこで重合は終了してしまいます。
そのため余計な不純物を含まない重合方法を考える必要があります。
 
 そのために、共同技研化学は、より品質が高く、コスト廉価な製品を創り出すために、アクリル粘接着製品の重合、合成、コーティングにおいて新たな製造方法を研究しています。  共同技研化学の製品の主体はアクリル系樹脂です。
アクリル樹脂とは、アクリル酸エステルの重合体で、硬く、耐候性に優れ、特に透明性は樹脂の中で最も高く、無機ガラスと比べ、加工しやすく、着色しやすい特徴があります。
この材料を主体として、共同技研化学の新たな製造方法を用いて、適切な形で特殊重合・共重合、合成・架橋、ポリマーアロイを行い、アクリル系粘着剤の高分子構造をゴム弾性状態に架橋することにより、粘性(柔軟性・粘着力)を有しながら、元の状態に復元する粘弾性体(GEL)としての高機能な特性を持たせることが可能になっております。

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スーパーエンジニアリングプラスチック

 プラスチックの性質は温度によって変化します。冷えれば硬く、温めれば軟らかくなります。プラスチックの指標でよく使われるのは、ガラス転移温度(軟らかい個体)と融点(液体)です。ガラス転移温度以上では、プラスチックは軟化してしまいますので材料として使用できません。また、一般的にプラスチックは、ポリマーの分子間の相互作用が強い、結晶性が高いとその分強度があがります。しかし、結晶性の高さは、加工性、透明性は下がる短所もあります。したがって、ガラス転移温度と融点が高いと耐熱性があがり、一般的に見てそのようなプラスチックは強度の点から見ても高性能で、結晶性が高い程、更に強度があがるという性質を持っています。  
 
 しかし、プラスチックはどんなに耐熱性や強度の高いものでもガラスや金属にはかないません。但し、適切な設計したプラスチックであれば、驚くほどの高温でも劣化することなく使用することができます。このように耐熱性の高いプラスチックをエンジニアリングプラスチックあるいはスーパーエンジニアリングプラスチックと呼ばれます。共同技研化学はこういったプラスチックの無限の可能性を研究しています。共同技研化学が研究しているの代表的なスーパーエンジニアリングプラスチックは、液晶ポリマー(Liquid Crystal Plastic LCP)です。液晶ポリマーの樹脂を簡潔な言葉で表しますと「溶融状態で分子が直鎖状に規則正しく並んだ液晶様性質を示す特殊芳香族ポリエステル系熱可塑性樹脂」です。 より専門的に言うと、パラヒドロキシ安息香酸(芳香族化合物カルボン酸)の基本構造を直鎖状に結合させた芳香族化合物系ポリエステル環状の化合物(ベンゼン環)で、環を構成するすべての炭素原子が二重結合で構成しています。安定していて、反応性に乏しく、溶融状態で配向性が生じます。 芳香族(ベンゼン)は、剛直性・耐熱性が高く、また、直鎖構造は規則性が高いため強度が強くなります。ポリエステルは、丈夫で、結晶性が高く、極性が低いため、ガスバリヤ性も高いです。結晶とは分子(原子)が、3次元に整然と羅列した状態である。結晶は位置の規則が整然としている。これを位置の規則性という。配向とは分子が一定の方向を向いている。これを配向の規則性といい、液晶とは位置の規則性のみが失われ、配向の規則性は残っている状態を表します。
 
  スーパーエンジニアリングプラスチックは一般的に耐熱性や強度が優れている一方で、その高い特性のために顧客要望の形状に加工することが難しい材料でもあります。共同技研化学は独自の技術を用いて、この液晶ポリマー(LCP)樹脂のフィルム化に成功しております。共同技研化学が考案した特殊溶液キャスト製造方法(Special solution casting method)を持ちいることで、不可能に近いと言われていたフィルム化を世界で初めて実現しています。

液晶ポリマー(LCP)とは

 耐熱性が向上したプラスチックは融点やガラス転移温度が高いので、成形が困難になります。高い耐熱性と良好な成形性との両立に対します。一つの解答が液晶ポリマーでです。サーモトロピック液晶性を示す芳香族ポリエステルは液晶性のため溶融粘度が低くて流動性がよく、熱変形温度が高くても射出成形ができることから注目されています。

 液晶ポリマーはせん断などの外力で分子鎖が配向し、冷却時には配向を保ったまま固化するので、剛性が高く、成形収縮が小さく、流動の方向の弾性率が通常のプラスチックに比べ3倍以上高いという特徴を有します。欠点は異方性が出やすいことであり、成形条件も狭い傾向があります。優れた耐熱性、電気的、機械的特性を利用して、電気・電子部品に多く利用されます。代表的な用途は、コネクタ、スイッチ、コイルボビンなどであり、それ以外にもガスバリヤ性や電気絶縁性を生かしてフィルム用途に展開が期待されています。

特徴をまとめると以下です。

1.耐熱性に優れる。
2.射出成形時の溶融粘度が低く、薄肉成形性に優れる。
3.固化速度が速く、バリが出にくい
4.高い絶縁性を持ち、マイクロ波領域の高周波に対しても低い誘電率、誘電正接を有する。
5.線膨張係数が小さい
6.制振性に優れる。
7.全芳香族タイプで難燃剤フリーでUL規格燃焼性V-0ランク取得可能。
8.ガスバリヤ性が高い。

これらの特徴を活かし、LCPの大部分は、電気・電子部品向け成形材料として使用されており、近年のIT産業の急速な発達により高成長を遂げてきました。

KGK 共同技研化学の液晶ポリマーフィルム(LCP)の特徴

・スーパーエンジニアプラスチックの特徴である耐熱性・高強度(結晶性)。
・LCPの独自の特徴であるガスバリヤ性と高周波での低誘電・高絶縁特性。
・LCPのKGK独自の特徴である溶融状態(アルファモス)で配向する性質(重心が偏ることによる強度などの特性がアンバランス化)を除去するため、溶融成形(Melt molding)ではなく、溶液キャスト法(Solution casting method)(溶媒を用いた成型)によるしなやかさと高い強度特性。

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共同開発・業務提携

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